百万遍・古都恋情

百万遍・古都恋情_e0001663_12362355.jpg3年前くらいに読んだ「百万遍・青の時代」の続編。3年前は釈然としない思いで読み進め、京都を舞台にした続編期待で渋々読み終えた感想書いてる。

時代は1973年、まさに私が京都でくすぶってたリアルタイム。出雲路橋に出町柳、ほんやら洞にダムハウスなど懐かしい名が次々現れ、その意味でのみ前作より興味深し。登場の面々、品行方正な私と違い無頼でアウトローではあるが、荒んだ空気と空虚な思念は見覚えあり。

それにしても…この惟朔という主人公、何しに京都へ来てるのか?上下巻通してストーリーらしきストーリー無し。歩いてるだけで絶世の美女が引き寄せられ陥ちる。それぞれの女性に対する外道な振る舞いが無頼でアナーキーでクールだろうと…違うだろ。

下巻は話の展開も支離滅裂となり、前作からの大河の構想も物語の締め括りも喪失、投げ出しとも思えるエンディング。精神的になんかあった感じ。

前作で宮本輝「流転の海」みたいと書いたがまるで違った。「青春の門」等には見てほしくもないだろうし…あえて言えば濡れ場を省いた富島健夫?神崎京介?…70年代を京都で過ごした方以外にはお薦めしにくい大河小説、です。
by cegero116 | 2009-06-16 12:36 | 本の虫 | Comments(0)