金色の雨が降る

金色の雨が降る_e0001663_14435260.jpg桐生典子さんなる未知の作家の「金色の雨が降る」、文庫で書店平積みになっていたのを購入・読了。これまで見ないテイストのファンタジー・ロマンであった。

初っぱなから幽霊なんぞ現れて、これは怪奇モノかタイムスリップものかなと…宮部さんの「ライオンハート」っぽいかもと邪推したが、そんな軽妙な話ではなかった。が、オリジナルな構成に☆☆☆。

ネタバレさせずに書くのは難しいが、現代に生きる淋しきバツイチ女性のストーカー話と、明治の足尾銅山の花街で苦界に身を落とした女の話が交互に語られ、終盤までなかなか交わらない。きっとどっかでタイムスリップするぞ、との予測は微妙に外れる。

粗暴で救いがたいストーカー男と逃避行を図る奈生子と、恵まれた旦那に身請けされながらも行きずりの坑夫との道行きを図る女。主人公達の性向は共通していて、なんでやねんと貶し処満載のシーンが続く。たぶん著者自身へのオマージュ。文章もねちねちと絡み付く。厄介なお方とお見受けした。

そそくさと読了してしまったわけは、昨日発売・話題騒然の村上春樹「1Q84」を買ってしまったから。初版だぞ。2000円もしたんだぞ…大事に読もう。
by cegero116 | 2010-04-16 14:43 | 本の虫 | Comments(0)