街場の大阪論

街場の大阪論_e0001663_21332360.jpg岸和田生まれの岸和田育ち、生粋の大阪人たる著者はタウン誌の編集者とか・・・東京では聞かない名前だ。が、「そやそや!」「わしもそう思う」のスマッシュフレーズ満載の快著。珍しく二度読んでしまった。

全国学力テスト、大阪の子供は全国最低レベル、沖縄のすぐ上との報道について・・・成績に関係ないテストなんかやってられへん、と白紙答案の率が高いから・・・なるほど。教育改革を唱える弁護士崩れに言うたれ。



坂田三吉、横山やすしを例にとり、勝ち負けを至上としつつ、負けて帰った人間に対して優しいええ街大阪を語る。大阪と言えば「たこ焼き、お好み焼き」と答える愚かさ、待ったらんちょいワルおやじ、では自分のまわりは「全ワル」ばっかりやったとそのうそ臭さを嘲う。

なんて書いてくと、本をそのまま引き写したようになってしまうな。ともあれ、全編を通して共感したのは、「形容詞の名人」ぶりである。

・いらっしゃいませ、こんにちわ がこだまするやまびこ的商空間
・グラフィックデザイナーの気配ばしばしメニュー「和歌山からの鯛の造り漁師風」
・ニットキャップにセル縁横長眼鏡系の若者
・カジュアル系の服屋で「アルバイトしてますぅ」な女の子のワニ革型押しの大きなショルダーバッグ

おぅおぅ、私の嫌いなものを上手に表現してくれとる。・・・ってやっぱり引き写しだな。いい加減にしとこ。キタは既に大阪ではない、とまで書かれておられるのであるから、上京33年の私は既に外人、日系ブラジル人ならぬ阪系関東人なのだろうけど。・・・でも、あとこれだけ。

『野球帽にスウェット姿のおっさん同士がビールとイカ玉でパ・リーグを応援しているカウンターにずかずか入り込んできて、
「雑誌で見たんですけど、イカが美味しいんですよね~。どこ産のイカですか。あ、お水いただけますか。わ、なんだかベタベタしてるなぁ。ここ拭いてもらえますか」みたいな振る舞いは許されない。』

「出てってもらおか!」との、大将の怒鳴り声が聞こえそうなシーンである。
by cegero116 | 2010-06-15 21:33 | 本の虫 | Comments(0)