羊の目

羊の目_e0001663_991161.jpgサイバラ画伯の交遊、毒を以て描かれてない有名人は皆無、と思いきやこの伊集院静さん、画伯が一種の敬意を抱いている節がある。鴨ちゃんの死後、「なぁサイバラ、人って死ぬんだな。」の一言で落ち込む画伯を吹っ切らせたエピソードが今週の週刊誌にあった。無頼に惚れた?とは浅薄な見立て。と言いつつ「アホー鳥がゆく」出版記念のサイン会に出かけたみぃはぁな私。

よく知らなかったが静さん、直木賞受賞作家だそうだ。タイトルの「羊」も少し気になる…沈黙ならレクター博士、言葉なら日-WINGS。なんのこっちゃわからんな^^。とにかく結構期待して文庫購入・読了。



結論・・・これはひどいなぁ。エッセイ、雑文の達人は小説に向いてないのかも。ご本人の無頼な生き様の精神的支柱としての「昭和の侠客」への憧れはよくわかる。親分連中のエピソードはなんかありきたりだし、出しっ放し。週刊実話巻末数頁の記事に耐える程度。たぶん書いてる途中で飽きてしまうのだろうな。それも無頼?

命を狙う刺客も敵国兵もマフィアも看守も、みんながひれ伏す主人公タケミの親分一筋の侠気・・・ヤクザ映画としても二昔以上前のセンス。深作はこのマンネリを打ち破ったから凄いのだよ。物語半ばからは筋もクソも無くなってしまい、エイリアンかターミネーターの如く強くなってしまったタケミが荒唐無稽な殺戮を繰り返す。と思ったらアメリカの刑務所に25年服役・・・と思ったら出てきてすぐまたターミネーター。

ちょっと幻滅の一篇でありました。
by cegero116 | 2010-10-04 09:09 | 本の虫 | Comments(0)