ノルウェイの森

土曜日。夕刻前に打合せが終わり宿題のエスキスもなんとなく完了、で今年初乗り映画鑑賞に出かける。去年から、気分が暗くなるような気がして、観ようかどうしようか迷ってた「ノルウェイの森」。

ノルウェイの森_e0001663_223174.jpg村上春樹ファンとしてとりあえずナンバーワンにランクさせてる作品。超常現象も化け物もでてこないので、さらっと読むと普通の悲恋ロマンに読んでしまう。そんなにポコポコ殺すなよ、なんてね。けど、気が付くとなんかこの世のものでない独特の春樹ワールドに居る不思議な作品。映画を観てそれと同種の感覚を覚える。

だからと言って村上春樹の世界のコピーかと言うとそうでもない、これはベトナム系フランス人監督さんの腕前だなぁ。棒読みっぽくてひそひそ話のような台詞、をほんの数回だけ爆発させて引き立たせてる。マツケンとやら、面立ちは韓流スターのようだが、深い芝居のできる方だ。

凛子さんは「バベル」以来。役を狙って身体ごとぶつかり燃焼し尽くすタイプ。今回は少し太ってたが、追い詰められた精神を浮腫みで表現したのかと思ったほど。監督の執拗な長回しに耐えた草原の告白シーンは凄みがあった。緑さんのキャスティングも上手いなぁと舌を巻く。

後半はビートルズはともかく色んな音楽が押して来て、雪景色や岬の荒波でちょっと盛り上げすぎな感じ。韓国ドラマか火曜サスペンス劇場みたいになってたぞ。…なんて陰口は御免なさい。今の私にとても相応しいテイストの作品でした。
by cegero116 | 2011-01-15 22:03 | Cinema | Comments(0)