いつだって大変な時代 - 1

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何故か週刊文春の「ずんずん調査」が唐突に終わってしまった。何か失言か黒い交際でもあったのかな?の堀井憲一郎さんの新書「いつだって大変な時代」。3・11の震災を挟んでメルマガで連載されてたのをまとめたもの。

震災前に書いた前半の下りがのんきなトーンに見えないかと心配して前書きを書いておられるが、書の主張は震災を挟んだことでより際立った。この9月、半年を経過してやっと端緒についたばかりの東北復興、収束の手がかりすら見えぬ福島原発、米国信用不安と超のつく円高、待ったなしの社会保障改革、いや、本当に大変な時代だ…と。

では震災の起こる前なら「今は平和で幸せな時代だなぁ」と思ってたか?、普天間問題、尖閣・竹島・拉致・ねじれに温暖化、なにより百年に一度の不況で未曾有とまで言っておった。そりゃもう大変な時代だったのだ。その5年前は?10年前は?100年前は?いつだって、人は自分の時代を大変な時代だと思いたいのである。自己愛であると喝破している。

斜めでニヒル、へそ曲がりとも思うが、あちこち共感する部分多し。「今日の難局を鑑みるに、政治的空白を作るわけにはゆかない」との、選挙を先送りするための決まり文句(枕詞?)があるが、いつだって難局、難局探検隊なのだ。

大東亜戦争だって、軍部が勝ち目のない戦争に暴走していった、との歴史評価がある。これを下支えするために、老人に悲惨な記憶を語らせ 「戦争の悲劇を語り継がなければなりません」などと力を入れる無意味さを嘲笑っている。あの戦争は国民の多くが支持して遂行された。これを忘れたふりをして、国民すべてが軍部から解放されて自由を手にした歓びを味わった…など「美しく歪められたうその歴史である。」と。

バブルだって、1986年の時に誰がバブルって思ってた?「女がリードするヒミコ景気!」「戦後最大!平成景気の上昇曲線」…週刊誌の見出しで世相を炙り出す。ホリイさんの十八番。大東亜戦争敗戦と同じ構図。特別な時代を生きてると信じて行動、過ぎてしまうとそりゃ過去の話と目を背け、今こそが特別で大変な時代だと…。何度でも繰り返すのね。

と、ここらまでは震災前に書かれた冒頭〜前半。中盤から震災を経た後の後半にも面白い論点がたくさんある。共感たくさんだが、なんだか長くなったので項を改めまする。遠い、遅いの小田急線車中にて。

by cegero116 | 2011-09-10 09:34 | 本の虫 | Comments(0)