カラヤンとフルトヴェングラー

カラヤンとフルトヴェングラー_e0001663_22322675.jpg今回の上海、旅の友。いつだったかにBOOK・OFFでまとめ買いした中に入っていた新書一冊「カラヤンとフルトヴェングラー」。この年になるまで全く不調法なクラシック。オーケストラの鑑賞の仕方は遂に知らずに人生を終えるかもしれない私でも知ってるこのお二方のお名前。

と、ヒトラー率いるナチス全盛時代を掻い潜り、嫉妬、策略を巡らすフルトヴェングラーと、これに巧みに抗い、遂には指揮者の代名詞、帝王の地位を確立したヘルベルト・フォン・カラヤン、本来ならベルリンフィルの正当な後継者だったチェリビダッケなる田舎の指揮者…クラシック黄金時代の美と欲望のドラマ…てな裏表紙の釣りにある通り、音楽ではない箇所にスポットが当たっている。

世界史上最悪の時代だったことは誰も異論がなかろうナチスドイツ。が、その目を覆う残虐とスピード感、スケール感に惹かれてナチスものを愛読する奴が結構いるのではないかな…私もです。音楽関係ないな。憲法改正をナチスに学ぶ秘密研究会を党内に立ち上げておられる閣下も同好の志かもしれんが。

読み物としてはえらく面白かった。クラシックファンにとっては誰でも知ってるエピソードばかりなのかも知れんが、門外漢には十分。史上最高の指揮者フルちんが、陰湿な嫉妬漢であり地位を脅かすと直感した唐やんをいじめ抜く。失業者から叩き上げた唐やん、これにへこたれるようなやわなタマではなく、フルちんを上回る権謀術数の数々。これにワガママ・ブチキレで楽団員に弾かれたチェリ坊が絡んで、三つ巴の永田町暗闘史か仁義なき戦い広島死闘編のごとし。…好物になぞらえて読んじまうのかなぁ?

著者は雑誌クラシックジャーナルの編集長。深い造詣に基づいてることと思うが、このワタクシにフルちん、唐やんのCDを聴き比べしてみようかな、と思わせるなんて書き手としても大したもんだ。「松田聖子と中森明菜」なんて著書もある…この二人も嫉妬と陰謀を巡らせたのかな?「ジャイアント馬場とアントニオ猪木」、書いてないのかな?…守備範囲広いッスねぇ。
by cegero116 | 2013-08-17 22:28 | 本の虫 | Comments(0)