ホテル・ローヤル

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最新の直木賞受賞作、桜木紫乃「ホテル・ローヤル」。旅のお供に珍しやハードカバーで購入、広州のホテルで読了。写真のバックに写るシーツは古朕温泉ホテルのもの。

ホテル・ローヤル、古朕温泉ホテルとは大違い、田舎の場末ラブホテル。著者自身が育ったのがラブホだったと、どこかの雑誌で読んだが、懐かしさや愛情は皆無なご様子。出だしから既にホテルは廃墟。銀行や建築会社に騙されて建てるくだり、存在そのものを男と女の後始末と断じるあたりは生い立ちを憎んでるのかのようだ。

登場人物に主人公は見当たらず、主役は建物。オムニバス、連作短編と言う類の作品だが、各章がとても切ない…と言うかビンボ臭い。夫婦も恋人も不倫も売春も千円札の世界。恋も犯罪もドラマもクライマックスもないまましっとりと…じっとりと話が展開。芥川賞のようだが、ビンボ臭いから直木賞なのかな。私の好物ですな。
by cegero116 | 2013-09-28 08:07 | 本の虫 | Comments(0)