月は怒らない

月は怒らない_e0001663_1625068.jpgラインとコロプラとポコパンに押されてとんと熱中しなくなってしまった本の虫。久々に手に取ったのはハズレなしの垣根涼介さんの「月は怒らない」・・・長い間カバンの中にあったなぁ。一気に読めば一晩モノなんだけど。

ワイルドソウルの疾走感も君たちに明日はないの爽快感もない・・・鬱期に入ってるのかな、垣根さん。生い立ちに暗いものを抱えているらしい地方公務員の女性に魅せられた3人の男、金融系裏稼業の中年男、うっぷん溜めまくりの貧乏学生、不毛な結婚生活を送っているうだつの上がらぬ巡査、のさや当て。登場人物みなやり切れない輩ばかり。

求められれば夜を共にするが、決して依存したり束縛したりすることはない。心の中に荒んだ風が吹く女。記憶障害の老人の元に、初対面を装って毎週通う行為が何の代償行為なのか・・・いつでも全てを切り捨て完全なるひとりに戻れる?3人から選ばれた金融ヤクザを、優しく、しかしいとも簡単に、存在を否定し別れを告げる。

結末は特にない。あとがきでの垣根さん、元気ないな。でも、ヤクザと学生の喧嘩シーンだけは相変わらずスピーディで見事な緊張感を保っていたな。また次に期待。
by cegero116 | 2014-09-02 16:02 | 本の虫 | Comments(0)