ブランカとギター弾き

e0001663_19113248.jpg
銀座二丁目にての地鎮祭の帰り道、ふと目に留まった映画館シネスイッチ…ここ、目立たないいい映画掛けてるんだよなー、と気になる。午後会社に戻りだらだらと雑用こなしての夕刻、なんかちょうどいい時間の映画やってないかな?と検索。親友が余命を宣告されての4日間…なんてのを見に行くつもりで銀座へ舞い戻る。

で、暗いのやだなぁ、なんか他のちょっと覗いてこ、とシネスイッチの前へ。ちょうどいい時間に短いのやってた。「ブランカとギター弾き」とな…予備知識全くなしで飛び込んでみる…これが大当たり!




のっけからマニラのスラム街の喧騒。窃盗と物乞いで、路上生活を送る孤児たちと、盲目の路上ギター弾き。主演は10歳にも満たないやせっぽちの女の子。野良猫のように逞しく生きてるが、暗さや怒りの感情は見えない。不潔な街並みやゴロツキ達の描写もどこかユーモラスで温かい。

日本人監督の長編デビュー作、製作はイタリア、キャストはすべてフィリピンで現地調達。かなりのチャレンジャーだ。キャスティングは主演の女の子を除いてすべて現地のスラム、スモーキーマウンテンで本物のストリートチルドレンから選び、要となる盲目の老ギタリストも全くのほんまもん。なお主演の子はYouTubeに歌をupしてたのを見つけたとか。目立たぬ小品だが、ヴェネチアヴィエンナーレで絶賛され日本凱旋。世界でこれを見た観客のうち、日本人監督と気がついた方は居るのかな?

大人が子供買うのだから、子供が母親買ってもよかろう、と30,000ペソで母親買います!のポスター貼りまくるブランカ、その原資は全部スリか物乞いなのだが、ふとしたことで友情を築いた盲目のピーター爺と二人、歌で稼ぐことも覚える…これも結局裏切られるのだが。

ピーターとはぐれ孤児仲間と揉め、売春窟に売り飛ばされかけ、すんでのところで逃げ出すブランカ。思い余って自ら孤児院の門を叩くも、院の仲間がみな誰かの養子にしてもらうことばかり考えているのに辟易…一晩で逃げ出して再び路上のピーターの元へ。一時揉めた孤児仲間のセバスチャン(←こいつサイコー♪)と二人で路上ライブやってるピーターに再会する。

足音でブランカと気付いてニヤリと笑うピーターと、夕陽の中で涙ぐむブランカ…この2カットだけでこの映画☆☆☆☆☆になると思う。ワシまで目頭熱くなった。

このピーターさん、映画完成後に急逝されたらしい。監督への友情をしるした書簡と、映画で用いられた青いギターがホールに展示してあった。
e0001663_19113409.jpg
お名前すら知らない監督さんだが、次になんか撮られるようであれば見逃してはならないのだ。
by cegero116 | 2017-07-30 19:10 | Cinema | Comments(0)