三冊

移動の多い生活、なんとなく肩の凝らない小説で新幹線の気分転換…と、薄めの文庫を持ち歩いてる。ちょっと溜まったので三冊まとめて感想。

三冊_e0001663_12593963.jpg「サラバ」とやらでブレイク中の西加奈子さん…サラバ、長くて疲れそうなので一番薄い小品「窓の魚」。

4人連れの温泉旅行の一夜で起こった事件を、4人なりの視点から4回描いてる。誰かが死んだのは確かだが、事件は話の核心ではなく謎解きも特に求めていない。4人が4人、それぞれなりの心の闇を抱えており、一度発せられた言葉がどんな思いで発せられたのか、どんな思いで聞いたのか…ややくどいくらい繰り返され、読み手も反芻することになる。この前読んだ「出版禁止」でも思ったのだが、最近の小説テクニックはとても進化しておる。


三冊_e0001663_12594027.jpg次はミステリー仕立て(?)の短編集、この方もよく知らない方。警察ものだったり国際ビジネスものだったり家族の因縁物語だったり、ブラックユーモアだったり人間交差点だったり…バラエティに富んでいる。

帯にもある通り、かなりの技巧派とお見受けするが、結末の付け方から少し複雑な性格の作家ですな。中では追いつめられた挙句の連続犯行に及んだビジネスマンが陥る最悪の結末…「万灯」が目新しい展開で面白うござった。


三冊_e0001663_12594138.jpgこれが一番最近に読んだもの。現役AV女優さんの作品で、今映画化されてるらしい。と、業界の内幕を描いたキワモノ、かと思いきや、官能描写は控えめ(←がっかりしてないよ!)で、なんとも叙情的かつ無駄のない文体。登場人物の描き分けもわかりやすく、脇役も引き立っている。

どんな映画に仕上がってるのか、ちと見てみたい気にさせられました。

本の選び方、偏ってますかなぁ。

by cegero116 | 2017-11-27 12:58 | 本の虫 | Comments(0)