すばらしき愚民社会

学者さんは大変だなぁ、の一冊。



すばらしき愚民社会_e0001663_9364544.jpg「バカに選挙権を与えるな」の刺激的なキャッチフレーズをはじめ、あえて批判を呼び寄せる言辞さわやか(?)「バカ」とは、私のような大衆を指すのみならず、勉強不足で世論に迎合する半端な知識人をもさすそうな。頻繁にマスコミに登場する文化人、(宮台信司、香山リカ、浅田孝ら沢山)を、実名を挙げてぶった斬っている。(宮崎哲哉氏と上野千鶴子氏にはやや優しい。)主目的は実名を挙げられた方たちとの直接バトルに持ち込むことかな。「純粋理性批判」の昔から、研究とは批判を通じて精錬されてゆくのだろうが、戦闘性を持たぬ研究者は辛かろう。大変だこと。

近世が軽んじられている、はなるほど。2チャンネルの卑劣な匿名性攻撃への批判は全く同感。ポストモダニズムはやけくそ哲学、については論評不能・・・元々良くわかってない。禁煙ファシズムと戦う、の項は「?」。論旨明快、批判の方向性もよく解る。が、結果無理あり。ヘロイン・コカイン・大麻・煙草・アルコール・コーヒー、のどこで線を引くかの綱引きの問題。嫌酒権、嫌犬権持ち出してくれて解りやすいけど。

毅然とした批判の姿勢は非常に好感。表現者はこうでなくては。文中で最も印象的だった一文を引用すると、
「『大衆批判』なるものは、多数を敵に回し、自らを危険に追いこむ行為である。だが、人が常に多数派に迎合してばかりいたのでは、本当の衆愚社会になってしまうだろう。人には時に『嫌われる覚悟』も必要なのである。」

著者、とても槍玉に挙げる気がおこらなかったと見えて名前は挙がらないが(小林よしのり氏は度々出てくる。)、最近良く見る勝谷誠彦氏、思いっきり議論の流れに迎合する市民派コメンテーターにいつなったの?・・・サイバラと旅をしていた「ホモかっちゃん」とホントに同一人物?
by cegero116 | 2007-02-22 12:58 | 本の虫 | Comments(0)