花探し・幸荘物語

花探し・幸荘物語_e0001663_0235179.jpg2冊の文庫本に関連性は無し。まとめ買いした古本で、たまたま連続で読んだだけ。

しかし、結構象徴的なコラボレーションだった。世に書評出尽くしても、偶然隣あった2冊の比較書評はなかろう・・・て、なに気張ってるんかな?

いずれも達者なことでは比類なき作者。文学性はよう知らんが、楽しませてくれることにかけては当代指折りのお二人。面白かった、とはとりあえずご挨拶。

「花探し」・・・林氏の、露悪的な側面はよく知っているつもりだったが、これが諧謔的な意味を待った露悪とは、ファンでなければなかなか解らんぞ。



現れる登場人物が、これでもかというくらい唾棄すべきキャラばかり。人となりから発言まで、戯画化しておちょくりたいのかな?と思ってた。が、最後まで読んで、予定されたカタルシス無し。主人公は殺されないし、パートナーたちも破滅しない。あれだけ嫌なやつをヴィヴィッドに表現しながら、そのままにするのはエンタ作家として怠慢じゃ。

でも、脇で登場する輩たちが、私の狭い人間関係の中にしっかり居るのが怖い。女たらしの作家が出てくるが、そのまんまの知己がよぎる。ステレオタイプと謗る勿れ。そういう動物は確かに居るのだ。大便やゲロを撮影している写真家のつもりかな。

花村さんの方は、買うときに血しぶき飛ばないかどうか注意してることもあって、今回は当たり!登場人物全てに共感できた。居るよ居るよこんなやつ・・・林さん読んだ感想と基本構造は一緒?真理子さんはこれを「偽善」と解釈するんだろな。

達者な小説は、立ち会えぬ人生の思い出話を語ってくれる。またね、って感じ。
by cegero116 | 2007-05-21 00:23 | 本の虫 | Comments(0)