木曜組曲・Q&A

売れっ子恩田陸氏の作品2題。いずれも文庫で購入、読了。(新刊だぞ。)

↓まずは「木曜組曲」
木曜組曲・Q&A_e0001663_1319175.jpg組立に斬新な工夫を欠かさない恩田作品。これは4年前に毒物死したカリスマ小説家に姻戚関係を持つ4人の女流作家と、カリスマに影の如く付き添った女性編集者の計5人が、4年後の命日に事件が起きた「うぐいす館」に集い、徐々に事件の真相が明るみに晒されてゆく、というストーリー。

仕立ては本格推理、まるでクリスティか夏樹静子のよう。が、本来、テクニカルな本格推理とは一線を画す恩田氏、終わってみると「謎すべて解明、あぁ~スッキリ。」とはなっていない。これ以上はネタバレ、3年前くらいに映画化されていて、上手いキャスティングがなされてたようだ。

←次に「Q&A」。これの組立もなかなか珍しい。質問と回答だけで小説が構成され、しばらく読んでゆかないと、質問者が誰で、回答者が誰かがわからない。Q&Aがすすむうち、時間も経過してゆき、事件を巡る関係者たちの後日譚が折り重ねられてゆく。

が、こちらは前作よりもっと不親切。事件そのものの謎については最後まで語られない。実在の事件ではないかと錯覚させる造り、いと巧妙。終盤は俗悪な大衆に対する批判が勝ちすぎてるような気もした。

以前「ねじの回転」で、「歴史オタク」作家と判定していたのが、本2作は全くその色を変えている。どこにカテゴライズすればいいのやらの作家だね。
by cegero116 | 2007-08-30 20:11 | 本の虫 | Comments(0)