しゃべれども・・・

しゃべれども・・・_e0001663_128391.jpg「神様がくれた指」が面白かったので、国分太一主演で映画化された「しゃべれども、しゃべれども」購入、読了。

二つ目の落語家が、人間関係に悩む者たちを集めて即席の落語研修会を立ち上げ、箸にも棒にもかからぬ腕前のまま、ふとした弾みで発表会と相成る。イジメに会う少年、失恋の痛手から立ち直れない女性、口下手でテニスコーチの職を失いかけている従兄弟、喋れない野球解説者らが、噺を通じて心を通い合わせるようになる泣き笑いコメディ。

映画は見そこなってるのだが、小説自体はまことに爽やかな一編。中でも、関西弁を頑として捨てない少年がハマる桂枝雀のくだりは、東京生まれ・青山学院卒の著者が書いたと思えない、今は亡き巨星へのオマージュが読み取れた。



しゃべれども・・・_e0001663_12253763.jpg学生時代、落語と言えば上方落語。仁鶴、三枝がテレビで売り出し中の頃。入門は誰しも同じ桂米朝。コツコツレコード買い集めて聞き入るうち、その端正な語り口と実に対称的な爆笑王桂小米、後の枝雀の存在を知る。

ラジオ、レコードで聴いていても堪えられない爆笑の数々。同窓のT君に「枝雀は、喋ってる姿を見んと聞いたうちにはいらへんで。」と教わるも、当時はビデオ、DVDなど無い時代。テレビでその高座姿を見るまでにはずいぶん時間がかかった。今はいいねぇ、ちょいと検索すると、YouTubeで在りし日の姿がさっと出てくる。
まぁ、ちょっと観とくんなはれ。↓

桂枝雀 道具屋vol.1
桂枝雀 道具屋vol.2

私にとっての落語とは、枝雀の前に枝雀なし、枝雀のあとに枝雀なし!・・・なのだ。
by cegero116 | 2007-10-13 12:08 | 本の虫 | Comments(0)