乳と卵とナオコーラ

乳と卵とナオコーラ_e0001663_2022585.jpg本年度アカデミー賞、ではなく芥川賞(なんか、発音似てない?)受賞作、川上未映子作「乳と卵」。珍しく月刊文藝春秋など買って読了。・・・面白かった、とは、とても言えんなぁ。ま、純文学ですから。芥川賞とはそういうもの?

綿矢さんも蛇ピアスもわけわからんかったし、古くは田中の康夫ちゃんも村上龍さんも面白いとは感じなかった。



だいたい、小説を面白いかどうかで評価してるのがあかん。そりゃ、浅田次郎や北方健三、東野、伊坂を読んで興奮するのとはハナから違う。Kahnのソーク研究所とディズニーランドのどっちが面白い建築か考えてるようなもんだ。比喩むちゃくちゃ。

ただ、選者の石原慎太郎がボロクソけなすほどにひどい作品とは思わなかったな。話し言葉の成れの果てみたいな大阪弁でだらだらだらと続く会話。母親が豊胸手術に狂気の如く執着する訳も、娘が言葉を閉ざして筆談でしか語らない訳も、父親に会いに行った巻子がべろべろに酔っ払って帰った訳も、二人で泣きながら玉子を自らの頭にぶつけ続けたた訳も・・・なーんにも解説してはくれない。

時に、わざと不条理な世界を描いて、芥川狙いですよ~、てな作品にも出会うけど、これは違うと思ったな。ホントに感じてることを、感じた時のリアルな言葉で再現しようとのたうった跡あり、で、読者のことなど考える回路は初めから持ってない。文学がまだ行ったことの無い世界を覗いてやるぞ・・・と。んー、そんな気負いはないかな。

肉体に対する容赦ない描写や、女性の生理に対する露悪な語り・・・見たくないもの、見せたくないものという観点も排除してるね。文学者とは痛々しいものだ。多くの病人を救う天才外科医が浅田だとすると、研究室でマウス相手にDNAの構造を調べて一生を終える医学者の違い。んー、これもしっくりこない例えだなぁ。才能なし。

乳と卵とナオコーラ_e0001663_20255842.jpg今回の賞の候補には、今話題の山崎ナオコーラ氏もノミネートされていたらしい。「乳卵」の前に、今度映画になった彼女の作品を読んでいた。・・・私ゃ、文学者じゃないからタイトルも書きにくいよぉ、の「人のセックスを笑うな」。・・・いや、こいつは面白く無かった上に、何の可能性も感じなかったな。「思わず嫉妬したくなるほどの才能」・・・??わからん。最近流行のケータイジュニア小説かと思った。おかしなタイトルつけるなよぉ!

と、今日本屋で川上氏の単行本発見。「先端でさすわさされるわそらええわ」・・・まったくどいつもこいつも・・・。おじさん、ブログのタイトルにもよぅせんわ!
by cegero116 | 2008-02-17 21:25 | 本の虫 | Comments(0)