あの戦争は何だったのか

あの戦争は何だったのか_e0001663_21565347.jpg「大人のための歴史教科書」なる副題。どういうニュアンスを込めたのかな?思想や歴史感に偏りを持たせず、検定をクリアする無難さを意味しているとすると、成る程的確。自虐史観にも正当な自衛戦争説にも組せず、検証された事実を時系列で整理しているのが教科書なのだな。何の試験の時間なんだ?

とは言え、最近とみに右側からの攻撃に曝されてる保阪正康氏、端々にその理由が見える記述もあり、6:4で左足体重の本となってる。書評やネットでの個人攻撃は、圧倒的に右からのものの方が力強い。そんなことは十分ご存じの著者、論中でもテロへの怖れが日本人が正気で行動できなかった一因と述べている。…今もあまり変わってない、と言うかそのまんまではないか。

しかし、ちょっと淡々としすぎで、「何だったのか?」で本を買った人は欲求不満だろうな。この手の新書はハズレが多く、はなからさほど期待していなかったので、私はそこそこ満足、400円也。(古本屋で買った。)理由は戯画嘲笑の代名詞「大本営」についてのくだりが解りやすくて気に入ったのだ。目的も着地点もはっきりしないまま、身内の組織の小さな利益と自尊のために都度都度の針路を誤る。誤りに気付きてこれを改むることなく、全知を以て隠蔽を図る。そのまんままんま。

「勝敗」は敗者が負けたと言った時に決まる、とは東條の名言だそうだが、それは彼の信条。誰もそんな権限お前に与えてはおらん!…とは、昨日ごじゃごじゃうるさいお上にそんなこと書いたな。この本の影響か^^。これもそのまんますぎて力が脱ける。

左と言っても、鯨肉泥棒のグリーンピースくらいしか不在の現代、保阪さんにはそんなにびくびくしない知性でいてほしいな。
by cegero116 | 2008-06-21 21:56 | 本の虫 | Comments(0)