下北サンデーズ

下北サンデーズ_e0001663_1837214.jpg油乗ってるねぇ、石田さん!と声かけたくなる「下北サンデーズ」。下北は下北半島ではない、下北沢です^^。近頃入門してハマりかけてる演劇の世界の青春グラフィティは著者には珍しい(?)群像劇。

浅田次郎を演歌の達人とすれば、石田衣良はさしずめポップスの達人。どちらもクラシック=純文学の苦手なワタクシとしては予定調和だなと思いつ、最後の一行まで楽しみ尽くせる安全な方々だ。下北沢の代名詞のような売れない貧乏劇団が、大学入りたての女子学生を加えたことをきっかけにサクセスロードを歩み始める。

ご都合主義だと思うよ。何が魅かれる要素なのかなぁ?登場人物の書き分けが上手い?見たようなな奴ばかりだけど…そうか、ひとりひとりのキャラクター創りに手を抜いていないからだな。憧れた劇団で奮戦する主人公は、理系の大学で学ぶ処女にして実は計り知れない才能を持つ。演劇の世界で逆差別されないために東大卒の学歴をひた隠しにする30代の女優。トラブルと諍いの最中でも、メンバーたちは座長である自堕落な脚本家の才能を信じ切っている。…こう書くと、ほんとステレオタイプなストーリーだ。

でも、おそらくこうなるだろう、と言う予測どおりそうなって、全然がっかりしない。一種、カタルシスすら得られる。マーケティングとホスピタリティの勝利だね。☆☆☆です
by cegero116 | 2008-08-30 18:29 | 本の虫 | Comments(0)