平蔵政談

平蔵政談_e0001663_2020476.jpg午後、ちょっと抜け出し新宿京王プラザホテルで開催された(株)プロシップの40周年記念研究会に顔を出す。会計ソフト・ソリューションの会社を立ち上げられて上場まで果たされた鈴木会長が、私のかつての上司の同級生だったご縁で、「国際会計基準」にも「国際化」にもとんとご縁の無い私を招待して下さった。身の程に余る、有難き幸せ。

ホテルの宴会場は立錐の余地も無いほどの満員。会長のお人柄を慕うユーザーの方々と思われ、文字通りの末席で小さくなって講演を拝聴。お目当てはかの竹中平蔵氏の「グローバル経済の行方~不況脱出はいかに?」を聞くこと。特に勉強したいという訳ではなく、純粋な野次馬。



しかし、抜け出して行った甲斐があった。感動もんの素晴らしい講演。1時間の間、原稿見ることも無く、トチリも言い淀みも無く立て板に水の如き流麗な語り。一龍斎とか神田、宝井の屋号を奉りたくなった。講演ではなく講談?^^・・・また、内容もあの当時から全くぶれていない。グローバル化の競争の中で国家が勝ち残るために何を為すべきか、に徹しておられる。敗者に歩調を合わせてこのまま落ちて言って良いのか、と。

「派遣切り」「格差」の元凶として批判されていることも一向に恥じてはいない。どころか、「皆さん、日本の労働人口で派遣労働者がどのくらいいるかご存知ですか?たったの2.6%ですよ。」なんか、それくらいの犠牲者は出て当たり前だと聞こえなくもないが、派遣批判については、切りやすいように派遣会社に高い賃金払ってるのに、切って怒られるのは変だなと、私も怪訝に思っていたので妙に感心。「製造業への派遣を禁止したら・・・派遣が請負に変わるだけで、労働者はもっと虐げられますよ。」・・・ふむふむ・・・いかん、洗脳されてる。

話は、日系ブラジル移民の誇り高さから、資源バブルの崩壊、オバマ経済スタッフの優秀さ、日本の経済スタッフの恥さらし、米国発の危機を受けて米国の何倍もGDP減らした日本の無策、郵政民営化が世界から受けた賞賛、解雇権濫用を断罪した裁判所判例の愚かさ、農地法による日本農業の衰退(ドバイで日本の西瓜が30,000円で売れたそうな。←オイルマネーのバブルもてはやしてどうする。)・・・等々、浅く広くダイナミックに展開。プレゼン話術に悩む私にとって、素晴らしい教師となってくれた。

不況脱出は、「羽田空港を2倍の規模にする」「法人税を下げて納税者番号制度を採用する」「東大を民営化する」の3点で意図も簡単に解決する!と言い切ったあと、かんぽの宿問題は、郵政官僚が西川CEOを追い落として民営化を逆戻りさせる策謀=社保庁年金不祥事と同じ構造・自爆テロだと看破して講演を終えられる。政権のlegitimacy=正統性に言及されたのは、先般の小泉ぶち切れ会見の「誰のおかげで2/3あると思っとるんじゃ!」のフォローアップだな。

ある立場からは至極真っ当。勝ち抜いてしまえばみんな幸せになる、ほんのついこの前まで私もそう思ってた。ジャングル資本主義っていうか、帝国主義に近いかな。そんなに発展しなくて良いから、普段何もしなくていいから、能力に乏しかったり運が悪かったりした人を救ってくれる政府がいいなぁ、みんながみんな強いわけじゃないよぉと、最近とみに宗旨替え。・・・自分が弱ってきたから、かな?
by cegero116 | 2009-02-25 20:20 | 世情 | Comments(0)