カテゴリ:本の虫( 430 )

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新幹線のお供の文庫本。探偵小説と言うか何と言うか…早坂吝(←やぶさか、と読むらしい)作「虹の歯ブラシ」。史上最もエロい援交探偵上木らいち、なる女子高生が主人公。シリーズ化してるみたい。何でもいいから肩の凝らない思いっきりお気楽なものを、と手に取る。

【ネタバレ注意!】
月曜から金曜まで、毎日違う客のために5色の歯ブラシが並ぶらいちの部屋。それぞれの色に基づいた連作、ミステリー仕立て。1本目、2本目と、味気ない官能シーンとつまらんトリック…をらいち探偵が捌いてゆく。ま、こんなもんだろうとは思ってたけど、と手が止まる。

3本目の「青」から様子が変わり、意外な被害者、つうか意外な犯人、つうか…トンデモ話に舵が切られる。所々に太ゴシックで強調されるフレーズがあり、終章でこれを反芻しながら全体構成の謎解き、どうじゃエラリー・クイーン!となるのだが、これがすこぶる理屈っぽい、てかマスターベーション。テクニックは稚いが、新しいことは新しいね。

【ネタバレしてるから引き返しオススメ!】
終章は、そこまで書いてきた自分の伏線を自分で辿って、主人公らいちの正体を推理してゆく。どれだけ上手くミスリードしたか、と自慢?上木らいちは、「男である?」「老婆である?」「未知の生物である?」…こう読めるであろう…否、ここでこう否定しているからその推理は誤りである…気持ちいいのね(^^;

チャレンジ精神は認めます。フランス書院など研究して、も少しエロ書きが上手くなるともっといいな。なんか、このテイスト見たことあるなぁ…と、森見さんとか万城目さん?んー、みな同窓ではないか。私も思い当たる節が…。
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しばらくリュックに入ったままだった文庫本、積ん読…ではなく背負っ読?を手にとって読んで見る。いやまて、なぜリュックに入ってる?デスクで見かけたはず…2冊ある…読んでしまったのをまた買ったのだろうか?と、読み始めてみると初読。どうなってるのだろう私の記憶中枢?並べて見ると表紙が違うぞ…発行された年が違うのかな?連続ドラマの原作だそうな。

作者の湊かなえさん。「告白」が大ベストセラーということは知っていたが、我が子をいじめ殺された母親が教師となって復讐を…てなストーリーらしい、聞きたい話じゃないでしょう~…と、敬遠して本も大ヒットしたという映画も近寄らなかった。


【ネタバレ】
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家人が息子の部屋の漫画本の整理を始めとる…強制断捨離。ベッドまで本を踏まずに入れない状態から拾い集めて、全巻セット出来たものから箱詰め、売り飛ばす計画。最近のコミックはタイトルも解らんなぁ。

ほんまにもぉ…と、これは人のこと言えない。私の時はもっとあった…DNAですな。この山のなかにある「めぞん一刻」一冊は私のです。捨てないで!
e0001663_21273831.jpgなんか書きにくいタイトルだなぁ…官能小説みたいではないか…ないこともないか。

ふがいない僕は~でヒット飛ばした窪美澄さんの最新作、って他は読んでないけど。読書リハビリの一環としてKIOSKで購入。新幹線ですぐよんでしまう。官能小説、と断定してしまうのはちょっと気の毒、いい人ばかりの登場人物がどなたもどこか煮詰っていて、たぶんこうなるだろうという結末に向かってゆっくりと話は進んでゆく。

主人公入れ替えながら、自分たちの幼少時と父母世代の思い出がいつか見たような街の情景と共に描かれていく。微妙な仲の兄弟と一人の女性の三角関係…女流好みの私だが、女子からみた男子像があまりにステレオタイプなのがやや違和感。最後に出てきた大阪のミミちゃんだけが実感のある登場人物だったな。

でも、他も読んでみるかな、と言う気になったのはやはり官能小説だからだろうか(^^;

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琵琶湖とんぼ返りの一日。往路のお供、恩田陸さんの「puzzle」…久しぶりだ。恩田さんが、と言うより本を読むのが。気持ちにゆとりがないとたっぷり電車に乗ってても本を開く気にならないんだね…と言うほどの小説ではない。最近「蜜蜂と遠雷」で直木賞受賞された恩田さんの、ちょいと小咄♪程度の軽いもの。本離れ症候群のリハビリと思ってKIOSKで買いました。


今のスマホの設定、More投稿できないんだよなぁ…で、ここからネタバレ注意。

冒頭の掴みサイコー。廃墟の島鼎島(恐らくは軍艦島がモデル)で同時刻に同年代の男が三人死体で見つかる。一人は餓死、一人は高層ビルの屋上に転落死体で、一人は感電死。チェスタトンの如し。そして全く脈絡のない記事、フライングダッチマンとか年号光文のスクープとかお菓子のレシピとか…が五編。クイーンの如し。薄い薄い本なのにこれをどうやって回収するのか…。

島を訪れた検事と関根春くん…半分過ぎても島を歩き回るだけで謎解きの手掛かりもない…と思うのが恩田素人。本格推理の暗黙のルールなど気になさらない作者は逆転の大技であっという間に回収してしまわれる。大技、いつもながら反則ギリギリ(^^;

読後感としては…軍艦島に行ってみたくなりましたな。


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誰かに貰ったとかのQちゃんのご本。台湾の建築家、梁思成氏の中国古建築図面集。装丁がなんともカッコいい。
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唐、遼、北宋、金、元、明、清、各王朝の社殿屋根の差異を描いたページ。精緻な学術資料と言うよりは好きでたまらないマニアのお仕事。大陸の学生さんならautcadであっという間に描いちゃうんだろうけどね。

きっと竹筆に墨で描いたりしておられるのだろうな。びっちり書かれた序論のところをテキトーに読んでると「すごい!読めるんですか!」とQちゃん…読めるわけなかろう、ただ漢字を追ってるだけ…そう言えば読みやすいぞ、簡体字がないからだな。繁体字と、日本でも無くなってしまった旧字体の漢字でできてて、風格と品位を感じる、さすが台湾。

簡体字、と言う存在は漢字がよめる知識層を文革で皆殺しにしてしまった毛沢東が、識字率のお手軽な向上を目指して創ったもの。ひらがな創った日本が言うのもなんだけど、見ていてとても不快になるデザインだ。
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香港、台湾からは↑のような揶揄も。やっぱり一国二制度は香港の制度に倣い、一つの中国は中華民国が統一を果たすべきですなぁ。
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八重洲のBookCafeで数ページ読んで買ってしまった小説「コンビニ人間」。今年の芥川賞受賞作。

芥川賞、とりあえず毎回読んではみるがなんとなく苦手。純文学そのものが苦手なのかな?…純文学と大衆小説の違いがよく解ってない、とも言える。人間の深いところをえぐってるのが純文学?…だとするとこの作品の受賞はむべなるかな、なり。

幼い頃から人とどこか違い、「治さなくては」な人生を、徹底的に己を消すことで繋いできた主人公。コンビニの店員として初めて世界の部品になれた、今私は産まれたと感じる。己を消して他人を投影して「繋いできた」人生、18年のバイト生活の末に、また「治さなくては」いけない自分を見つけてしまう。

他人に不快感を与えてるのか、と、新人のバイトで入ってきて、適応できずにすぐ辞めていった落伍者そのものの男と、何の心の高揚もないままうわべだけの同棲生活を始める。回りは驚き、喜び、主人公は一定の成果を得たような気持ちになる…も、最大の理解者だったはずの妹を激しく落胆させる結末に、18年続けたコンビニ生活を辞め、空っぽな自分に戻ることに。

ネタバレさせた上、感想文にもなってない…あらすじ書いてるだけだなぁ。たまたま舞台をコンビニにしてるだけで、自分がどこかおかしくて空っぽなことを自覚している人間が、コンビニの完全なマニュアルに安寧と生き甲斐を得る…ひっくり返せば、完全な組織に奉職し充実した人生を送ってるつもりの人間は「治さなくてはならない」なにかに気がついてない空っぽさんなのよ…か?

大ハズレかも…やっぱ純文学、向いてないかも。
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東京駅丸の内側にある本屋さん。コーヒー頼むと店の本どれでも席に持っていって立ち読み…座り読み可能と言うお得なカフェ。hさんとの旅の待ち合わせ時に教えてもらって以来ご贔屓にしてる。欠点はと言うと、ちょっと評判の本を手にとって読み始めると、続きが読みたくなって普段買わないハードカバーなど買ってしまうことなり。先日の東北旅行スタートでも同じ罠に落ちる。

悲しい歌も愛しい歌も
みんなあなたのことを歌っているのよ~
街に流れる歌を聴いたら
どこかで少しだけ私を思い出して~

なぜか夜曲を思い出した。
e0001663_19291274.jpg薄い文庫本に25篇もの超短編、一作10ページほどでラストに必ずどんでん返しがあると言う…こんなのしか読めなくなってるな。

どんでん返しのパターン、結局ひとつだけじゃないの?。ギャルのように語らう二人が実は老婆だったり、猿だったりアンドロイドだったり、愛を語り続ける相手を実は殺していたり、親子が逆転していたり、語り手が実は認知症だったり、殺人犯を怖がらないのは自殺志願だったり…主人公の最も特徴的な部分をあえて隠し、ミスリードする、に尽きるのだな。

乾くるみさんだってアガサ・クリスティだってみな同じ、かな。あとはテクニック、
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奥田英朗さんの連作短編集。中古車販売業の女から始まって、麻雀荘、料理教室、マンション、檀家、警察…と、関連の無さそうな各業界に現れる共通の女「糸井美幸」…主人公なんだけど、全10話で彼女の側から見た語りはない。その世界の中で最もみっともない、ショボい、人として最低の奴らが語る。

ネタバレになるかも知れないが、この女性がおそらくは犯罪であろう行為を重ねてのしあがって行き、翻弄される周囲は自らの心の貧しさゆえ彼女を、告発することすらできない。主人公よりその周囲を描いた小説なんだな。

奥田さん、こういう奴を描くととても上手い。居る居る~こんなの、と何度も感心。加えて「糸井みゆき」さんの姓名に、ある方とある方を結びつけて含み笑いしてたのは、解る人にしか解らないのだ。