吉原手引草
松井今朝子氏の直木賞受賞作。吉原一の花魁・葛城の謎の失踪・・・と帯にあるのだが、この帯まずいんでないの?筆者の意図をくじくネタバレ帯だ。
誰とはわからないインタビュアーが、吉原をとりまく人達に話を聞いていく設定。語りだけで物語が進捗してゆく中、序盤では、何かとんでもないことが起きたらしいこと、聞き手がこれを捜査する人間であることがわかるのみ。「忽然と姿を消した」ことを事前に読者に知らせちゃだめじゃん!
引手茶屋の内儀、妓楼の見世番、番頭、新造、遣手、楼主、床廻し、幇間、女芸者、船頭、指切り屋、女衒、大店の若旦那・・・吉原風俗をきちんと描ききって、終始全く退屈しない筆力は見事。説明臭くないのが嬉しい。
一点非の打ち所もない花魁が、実は強い目的を持って吉原に入り、本懐を遂げて見事逃げおおす・・・周囲の人間が実は温かく葛城を見守っていたというラストが、さわやかな読後感につながる。仇討なんだろうなと気付くのは終わり近く・・・ミステリーとしてはちょっと普通だけど、全体としては立派な直木賞と思った。
浅田次郎、宮部みゆきにこんな構成の作品があったような気がするな。このタイプ好きなんだな、やっぱ。
誰とはわからないインタビュアーが、吉原をとりまく人達に話を聞いていく設定。語りだけで物語が進捗してゆく中、序盤では、何かとんでもないことが起きたらしいこと、聞き手がこれを捜査する人間であることがわかるのみ。「忽然と姿を消した」ことを事前に読者に知らせちゃだめじゃん!
引手茶屋の内儀、妓楼の見世番、番頭、新造、遣手、楼主、床廻し、幇間、女芸者、船頭、指切り屋、女衒、大店の若旦那・・・吉原風俗をきちんと描ききって、終始全く退屈しない筆力は見事。説明臭くないのが嬉しい。
一点非の打ち所もない花魁が、実は強い目的を持って吉原に入り、本懐を遂げて見事逃げおおす・・・周囲の人間が実は温かく葛城を見守っていたというラストが、さわやかな読後感につながる。仇討なんだろうなと気付くのは終わり近く・・・ミステリーとしてはちょっと普通だけど、全体としては立派な直木賞と思った。
浅田次郎、宮部みゆきにこんな構成の作品があったような気がするな。このタイプ好きなんだな、やっぱ。
by cegero116
| 2009-05-17 11:43
| 本の虫
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