バーダー・マインホフ

バーダー・マインホフ_e0001663_15375114.jpg
いや、重い映画であった。堂々の142分。ミュンヘン五輪の前後、テロリズムに走ったドイツ共産党のリーダー、A.バーダーとU.マインホフを中心に、史実に沿って感傷を交えず淡々と、かつ徹底的にリアルに描いてる。

ブチ切れのならず者にしか見えないバーダーが、何故あれだけ大勢の若者や知的で冷静なジャーナリストだったウルリケを魅きつけたのか…ベトナムで戦など当時の実写フィルムがふんだんに挿入され、武器を取って戦わなければ勝利は来ない!の空気を僅かに思い出すが、現代の若者が理解する可能性はゼロだろう。

ちょっと前に見た「チェ」ならば、祖国解放の武力闘争と納得もしようが、不自由なく暮らす西ドイツのインテリが爆弾をしかけ放火、誘拐、強盗、暗殺などに走った背景は説明しきれていない。説明もなにも、本人達を含めて誰も解らないのかもしれないね。「理想の果てに」ってサブタイトルが虚ろだ。

ハンディカメラでひたすら追いかけ、揺れて走って回る映像…まるで「仁義なき戦い」。射殺された死体に執拗に弾を打ち込み、死体が弾けて踊る様などまさに深作。身内に怒鳴るバーダーは大友組組長の千葉ちゃんの如し。監督が深作ファン?まさかね。

ドイツの刑務所は互いの部屋を行き来できて、タバコも吸えておまけに拳銃も持てるのが不思議…ほんまかいな。主役の二人が、ボリス・ベッカーとシュテフィ・グラフに見えたのは、ドイツ映画っていう先入観のせい…ちょっと浅はか。
by cegero116 | 2009-08-13 15:37 | Cinema | Comments(0)