白い旗・敗走記
只今NHK朝ドラで取り上げられてブームになっている(?)…見てないから知らぬ…らしき水木しげる翁の戦記モノ。妖怪モノと並ぶ翁の代表ジャンル、二作が同時に文庫となって復刻している。
「白い旗」は山本五十六大将の撃墜潭や硫黄島玉砕、特攻隊の悲劇等を、あまり感傷的にならず淡々と描いたまさに戦記。相当古い作品と見えて、線だけ見て水木しげるとはすぐわからない。おそらく戦後すぐに貸本で著されたものじゃないかな。
「敗走記」の方はほぼ自伝らしい。何度も読んだような気がする、水木二等兵の凄絶にして生々しい体験談。ジャングルを描く何万本もの線はまさに水木しげる…妖怪と同じタッチ。
しかし、戦場の生き証人が語るこの圧倒的な現実を、現代の愛国者はどう読むのかなぁ。桜井さんも小林君も、自分は決してその立場にならないから故の発言だとは隠してるもんな。パソコンの前で愛国・反共を叫ぶ引きこもり70万も然り、水木しげるを「軟弱者!」とでも罵れるのか、君らは?
漫画の中でみっともなく敗走する男たちも、家族・友人・愛する者達のためなら恐れず命を投げ出して戦ってる。見てくれでしつらえた「公」や「美しい国」に殉ぜよと、安全地帯から叫ぶ輩に是非一冊贈呈してあげてもらいたい。
by cegero116
| 2010-07-25 16:18
| 本の虫
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