小暮写眞館

小暮写眞館_e0001663_12573974.jpg宮部みゆきさんの新作書き下ろし。しかも「写眞館」と来ては読まないわけにはゆくまい・・・と、堂々700ページのハードカバー。何で2冊に分けてくれないのかなぁ。2週間、鞄が重くてしょうがなかった。

週刊誌の書評等で、「今季前半のベスト3、ラストは涙が止まらない・・・」などと書かれた堂々の書き下ろし、ではあるが、内容はLight。青春ファンタジーもので、これを読むのに2週間もかかるとは・・・重い上に結構なお値段だったので、勿体なくてちびちび読んだのかも・。



ミステリー作家からステップアップしようとした作品?・・・いや、なんかジュニア小説のようで違和感あったな。主人公の英一はひたすらツッコミキャラに徹し、面白い比喩とモノローグで狂言回しを務める。情念が写真に写ってしまう、というコンセプトを立てて、小さな謎解きをしてゆくうち、4歳で亡くなった主人公の幼い妹に馳せる家族の想いが浮かび上がる。

ううむ、タイトルの写真館の小暮爺さんの幽霊話はどうなった?それもこれもみな未解決のままで、テンコとコゲパン、クモテツの軽妙なやり取りを楽しむべきか?垣本順子なる登場人物の心の闇もちょっと説明的で意外性がない。なにより、最後どうなったのか説明がない。

通して読むと、さすがの達人みゆきねえさん。飽きることはなかったけれど、少し肩透かしかなぁ。映画化はしやすそうな作品、きっと誰か狙ってるね。遮光器土偶のコゲパンちゃんは誰がやるのかな?
by cegero116 | 2010-08-30 12:57 | 本の虫 | Comments(0)