冥土めぐり

土曜日。朝から蒸し暑いなぁ、でTシャツ半ズボン出勤。今日は人に会う予定なし・・・は良かったのだが、事務所の鍵を家に置き忘れる。途中、キーホルダーと一緒になってる小銭入れを出す機会もなく、事務所の玄関で気付く。あいにく誰も出勤しとらん・・・焦って誰か来ないかとメールしまくり、午後に来ると言ってくれたO君を待つことになる。

冥土めぐり_e0001663_13412020.jpg一時間半もの間、喫茶店で時間を潰すのかぁ、と本年度芥川賞受賞作「冥土めぐり」が掲載されてる「文藝春秋九月号」を購入、これを読んでしまうことにする。芥川賞だぞ、秋葉原のメイドめぐりとはちゃうぞ。

100枚ちょっとの作品を、書き直すこと十数回、1,000枚は書いたのではとの著者談。ううむ、純文学とはそういうものか。毎年、この号の文藝春秋は終戦特集の興味深い記事もたくさん載っており、芥川賞先取りとあわせてよく買ってる。そのたびに、ううむ、と思うのは体が純文学向けではないのだな。



裕福だった過去、虚飾に満ちた母、人格破綻の弟、病を得て急死した父。思い出したくもない少女期の象徴となっている海辺の豪華ホテル。今や一泊5,000円の区立保養所に成り果てている。家族と抗ってまで結婚した相手は、よくわからない脳病で四肢が不自由。この夫を伴って貧しい中から費用を捻出、保養所への旅に出かける・・・過去の自分と今の自分、過去の豪華ホテルと今の区立保養所・・・。

詳細を書いてもきちんと感想が書けるような気がしないので、これでやめておく。が、家族、過去、不幸、病・・・が無ければ純文学にはなれないのかなぁ、と気の滅入る自分探しの独白が続く。脳病が心も蝕んでるようだが、反面、自然に天真爛漫にふるまえる夫が主人公の癒しの象徴。落ちぶれたホテルのモデルは、・・・いっぱいあるな。どれかな?

簡単にまとめると、嫌な家族と決別するためにどうでもよい男と結婚し、その男が病気になって後悔してるかと思いきや、かえって救われたような気分になってる。居場所がここにあるから・・・身も蓋もないまとめ。純文学わかってないからご容赦くだされ。
by cegero116 | 2012-08-18 13:41 | 本の虫 | Comments(0)