天切り松闇がたり

天切り松闇がたり_e0001663_9263658.jpgこれは久々浅田次郎。私のカテゴリーでは、書いたものは全部読むぞグループに属する。「闇の花道」「残侠」「初湯千両」の三冊の文庫をまとめて読む。どうも新刊ハードカバーで第4巻が出ているようだが・・・文庫化まで待つか思案中。

泣き笑いピカレスクロマンとしては、最初に読んだ「きんぴか」3部作が最高だと今も思う。まだデビューして20年も経っていないというのは信じ難いが、その間着実に達者になってゆき、もう永世小説名人の戴冠は間違いない。最近はお笑いと泣かせが微妙に使い分けられる傾向が出てきたとも思えるが、この3部作は初期のテイストが多々。といって、ずいぶん前から出てた本のようだな。ちょっと歯抜けてました。

お話自体は連作短編オムニバス。いずれ劣らぬ面白さだが、マクラとサゲ完備、一人称三人称入り乱れが落語鑑賞会の趣き。じっくり取り組む大ネタ(蒼穹の昴など)の合間にお好きな世界を書き貯めた感じ。いやぁ、江戸っ子、様子がいいねぇ・・・わし贅六やし。

やりすぎの感はあるが、この本を通して作者が最も気遣ったのは「名調子」ではないかな。3巻の巻末で中村勘三郎が自らの役の台詞に擬えてこの名調子を解説していたがむべなるかな。「声に出して読みたい日本語」には取り上げられてたのかしらん?(未読)・・・実はワタクシ、名調子マニアでもある。ん?何でもマニアって言ってるか(^^)・・・詳細はいずれ。
あ、解った!言葉遣い変なのはこの本のせいだ!
by cegero116 | 2006-08-23 00:04 | 本の虫 | Comments(0)