トリアングル

トリアングル_e0001663_21514437.jpg旅より戻り、いつもの日常が帰ってくる。ばたばた。

今回の旅のお供、俵万智の初小説「トリアングル」。短歌界のスーパーアイドルとしてはもう押しも押されぬ存在。初小説とは知らなかった。主人公をフリーライターとしているが、どう読んでも自伝。これだけすっぱり書かれると気持がいい。

31文字のなかで、思いを凝縮・吟味し尽くす名人、長文を書いても一言一言は光っている。自分を見る眼は酒井順子氏に近いような気もするけど、情景の美しさの捉え方が違う。章の折々に挿入される短歌が、小説の進行にぴったり嵌っているので、書き下ろしかと思ったら、「チョコレート革命」あたりに掲載されたものが多いらしい。改めて歌の解説を書いてもらったようなもんだな。

今の自分を、はっきり割り切った女だと信じて疑ってないのに、Mとの会話のやり取りにそうでは無い部分がにじむ。わざとおどけた物言いが、読んでいて痛い。しかし、このレベルの人が書く性愛描写はきれいにして生々しいことこの上ない。官能小説講座との違い歴然。My favolite novelに加えよう。

全くの余談。著者と山田花子がかぶって見えるのは、世の常識?トリアングル_e0001663_22185629.jpgトリアングル_e0001663_22191862.jpg
by cegero116 | 2006-10-30 23:36 | 本の虫 | Comments(0)