魚味礼讃

浅草の老舗「紀文寿司」の四代目主人、関谷文吉氏の魚にまつわる味談義。
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「本物のプロ」に弱いワタクシ、魚種別の短いチャプターに分かれた味談義、というより講義を興味深く読了。・・・魚の学名から生態まで非常に研究熱心なことと、鮨屋の大将とは思えぬ表現力の豊かさに驚く。

「稚魚たちの群れている川面に、撫で付けるようにそよ風が運ぶ桜のつぼみの、その消え入りそうなかすかなほころびの馥郁としたにおい・・・」鮭のことだそうだ。ワインのソムリエ真っ青。


全編を貫く主張は一貫している。
・魚は全て近海モノに限る。輸入物は不味い。
・全ては水のうまさが決め手。日本文化は水の文化。
・産卵期の痩せた魚を食って喜ぶな。旬に食してこそ味が解る。
・能書き垂れや、半可通、不心得な料理人が嘆かわしい。
・寿司は好きなように、思ったとおり食べればよい・・・

最後のは、私もそうは思うけど、関谷大将みたいなのが、カウンターで睨んでると、多分萎縮して味わからんぞ。でも、本自体、とても面白く、また、この人の握る寿司が絶対に美味しいと確信できる素晴しい文章の数々でした。行ってみたいけど・・・高いんだろうなぁ、紀文寿司。
by cegero116 | 2007-04-22 01:03 | 本の虫 | Comments(0)