必笑小咄のテクニック

必笑小咄のテクニック_e0001663_12551646.jpg「さおだけ屋~」にしろ「人は見た目が~」にしろ、この手の知識切り売りマニュアル新書にはずいぶん騙されている。これも、ジョークの構造を解析分類し、咄嗟に気の効いたギャグをかますトレーニング本、普通なら「金返せ~!」の類なのだが、今回はそんな暴言は吐かない。何故なら・・・米原万里さんだから。

ジョーク、ギャグを説明することの空しさや、理論立てることの無意味さは、身を以て知っている。(説明せにゃならんギャグばっかりかましてるからか?)この難関に敢えて挑戦した万里センセ。冷静に評価してみると、やっぱり失敗している。仕方ないよ。

まず、こに掲載されているジョークそのものが、日本人に辛いものが多い。いわゆるアメリカンジョーク、ソ連ネタ、シモネタの類いね。更にこれを理屈っぽく分類・解説しているのだから、彼女以外の執筆者であれば絶対購入していないと思う。これだけの悪条件・ハンディの中で、最後までサラリと読み進めたのは、作者の力量・私の贔屓。・・・悪ふざけに陥らないノーテンキな明るさは持ち味ですね。

あとがきで、闘病中の記述がある。このエッセイが絶筆となったらしいが、それを念頭に読んでみると、そんな時でもこんなに明るく語れる著者の人柄に敬服すること疑いなし。合掌。




各章の最後に練習問題が示される。(私は、殆ど一つも正解できなかった。)・・・で、短いのをひとつだけ引用させてもらう。

▼次の文章の情報提供の順序を変えて、「小咄」を作れ。

「当館の訪問者数はあまりにも少ない。世界的にも希有な歴史的遺構や遺物を数多く展示しているというのにもったいないことです。」

▼回答の一例

「この博物館は世界的にも大変貴重な、希有ともいえる歴史的遺構や遺物の宝庫である。なかでも最も珍しいものは訪問者である。」
by cegero116 | 2007-08-17 12:54 | 本の虫 | Comments(0)