生物と無生物の間

生物と無生物の間_e0001663_2123622.jpg昨年のベストセラー。「生命とは何か?」の究極に深遠なるテーマを、堂々と帯に謳っている。

アメリカに学んだ著者が、ウィルス~DNAの構造のほんのさわり(だと思う。)を、門外の素人にも精一杯解りやすく書いてくれている。・・・が、読了後よく解ったかと言うと・・・ほとんど眼から脳に通り過ぎてしまったな。真に最先端の難解な議論を、その萌芽から丁寧に辿って紹介してくれる。

優秀な生物学者にして、とてもロマンチックな文才のある方。実験に注ぐ実験の中から、第一発見者の名誉を得られる過程を、研究者相互の研鑽と競争、批判と妬みなどを交え、ドラマチックに描いているため、まるで解らん議論も飽きずに読めた。ベストセラーの種明かしは、遺伝子工学じゃバイオじゃと、株式用語のようにして使っている向きに、アンチョコとして重用されたのかもね。

私の読後感は、「研究者って大変なのね。」に尽きる。ポスドクのくだりなど読むにつけ、真理に仕える者は、真理の為ならあらゆる労苦も辛苦も耐え忍ぶのだなと感心。私に研究者の遺伝子が欠落していることを確認できた書であった。・・・何を今更。
by cegero116 | 2008-01-17 21:22 | 本の虫 | Comments(0)