ジェネラルルージュの凱旋

ジェネラルルージュの凱旋_e0001663_20521792.jpg止まらなくなってしまった海堂尊。文庫になるまで待てないかもの「ジェネラルルージュの凱旋」、察知してくれたらしく早々の文庫化。ありがとう、宝島社。

話は「ナイチンゲールの沈黙」の続編、というか同時進行の物語。田口・白鳥コンビの第三作にしてして「螺鈿迷宮」の前日譚。とにかく一作ごとに全然違うテイスト、今回はミステリー色皆無で、著者が最も訴えたいであろう、日本の医療制度の歪みに対する猛烈批判。社会派の面目躍如。

ホームズ・ワトソンにしてもポワロにしても、金田一はじめ日本のシリーズ探偵物にしても、何であんたが行くと事件が起きるんや?の水戸黄門的不条理を避けている。そういう意味では、純粋なミステリーは「チームバチスタの栄光」だけ。本作でも、この事件を史実として扱い、架空都市桜宮と東城大学病院に不思議なリアリティが与えられて来ている。

今回はネタバレを避けるが、白鳥調査官はなぜかとても目立たない。代わってミスドミノ姫宮が後日の螺鈿迷宮での活躍を予感させるデビュー。・・・単純なエンターテイメントなのに、ずいぶん入れ込んでしまったものだ。はっきり言って文章のおかげ。知的でテンポの良い文体は、早く次をを読んでみたいぞと食欲をそそる。次は「イノセントゲリラの祝祭」・・・タイトルも上手なんだよな。
by cegero116 | 2009-01-14 22:22 | 本の虫 | Comments(1)
Commented by おーくん at 2009-01-16 22:27 x
あと、78人待ち!!