カテゴリ:本の虫( 440 )

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将棋の世界、とんと不案内なのだが、あちこちにセンスのいいエッセイを書いたり、テレビのバラエティにも出てたりの先崎学九段が昨年夏から一年のうつ病闘病記をまとめた本。知る人ぞ知るみゆき教の熱烈信者、「みゆき様」と崇め奉ってるお仲間だから、であることも言うまでもない。「力うどんは天カス抜きで」の名言が生まれた「中島みゆきナイト」の画像↓…左側が先崎九段。
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私の狭いお付き合いの中にも「うつ病」に悩んだり治療中だったりの方が結構いる。「憂鬱」の「鬱」を冠した病名だからかな、気の持ちようでなんとかなるような誤解もなくなってない。「心の風邪」なんて言い方も少し舐めてる感じ。はっきり脳の病気と捉えなくてはならないね。天才の名を欲しいままにし、多忙な将棋連盟の仕事もこなし、ボクシングやみゆきさんなど趣味の世界も充実していた最中、青天の霹靂のような心身の不調。

「不戦敗だけはしたくない」とのプロ棋士の矜持に悩みつつ入院を選択、一年間の闘病を克明に記録してくれている。かなり回復してから回想して書いてるのだろうね。最もひどいときには起き上がって冷蔵庫まで行くのに何時間もかかっていた、と。将棋ができない、電車に乗れない、どころか文字も音も何も入ってこない…精神科医の兄と碁打ちの奥様に支えられ、ゆっくりと回復する様子がとてもリアル。「病気」なんだから治療と休養で必ず治る…当人より周囲の人間が読むべき本だ。

回りの人間…と、自分を見ている時点で上から目線かな。私も明日そうなるかもしれない…先崎さんほど誠実ではないが、潜在的な素質は十分…だよね。繊細だもんね。本では語られていないが、闘病中にみゆきさんに励まされることはきっと多かったと思う。「MEGAMI」の歌詞が沁みます。

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ホテルのロビーで見かけた絵本。「銭湯」に目が行くのは職業病。なぜマル秘なのかな?…と、目の付け所が面白かったので撮ってきてしまった。著作権侵害(>_<)

真っ白な熊が黒い半セーターと靴下を履いてパンダになってる設定。これを脱ぎ捨て、次のページでサングラスを外す親子パンダ。メルヘンだ。…これくらいの本が今の私に適した読書なのです。
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世の中の文字は小さすぎて読めなーい!とハズキルーペの渡辺謙さん…確かに、私が読書からちと遠ざかっている理由のひとつがそれ、加齢による視力の衰え。精神的な根気の衰えもあるにはあるが。

「本の虫」カテゴリーが漫画と雑誌ばかりになって困ったものなのだが、その小さな文字…しかも汚い…いや味のある文字で埋め尽くされたサイバラ先生の「できるかな」シリーズ最新作。このたった100ページそこそこの漫画が読みごたえあるんだわ。内容的に読みごたえがあるのか、単に読むのに労力を要するのか?…それでもみゆき教と二股かけてるサイバラ教信者として新幹線往復で読了する…居眠りのかたわらで。

今回はホントに高知で走らせてしまったサイバラ電車の顛末。手作り包丁、書道入門、コタツ陶芸(?)によるフィギュア作り。後半は競艇雑誌かなんかの連載とおぼしきボートレース雑記。それでもページが埋まらんかったと見え、あちこちから拾い集めた雑漫画。これで一冊出来てるんだもんなぁ。日用品倉庫に咲く銭の花。

最近頻繁に登場、準主役になりかけてた高須かっちゃん、今回はちょい役。古い馴染み、神様・仏様・バース様のシンボ君が前半の狂言回しを務めてくれたのが懐かしかったね。
訃報続きの中で、ちょっと順番飛ばしてるよの、さくらももこさん…享年53歳はあまりに早い。癌の神様の任意抽出は時にとても残酷だ。ファミリーお茶の間漫画の始祖は長谷川町子さん=サザエさんで異論はなかろうが、そのほのぼの感を失うことなく清濁あわせてよりリアルに昇華させてた。時代の進行、もあるね…更に進行した姿がクレヨンしんちゃん。そのお三方、すべてこの世を去っておられる…ドラえもんの藤子さんも、か。

冗談半分…(本気半分?)に、さくらさんに黒い嫉妬の炎を燃やしてたサイバラを思い出す。売れてることに対して、だけど評価してたんだろうな。どっちが絵が上手いか…はビミョーだけど。反面、少し上手いんじゃない?のくらたまさんには「あなたの目指す先に私は居ない」…とか冷たかった。なんかわかる…くらたまさん、良識コメンテーターになっちゃってるし。

そう言えば、テイストは少し違うがチッチとサリーは最近どうしてるのかな?私にゃ全く似つかわしくない…のに、単行本ずいぶん持ってたな。


で、いけないとは解ってますが(^^;
e0001663_22263811.jpg昨今、読書から長く遠ざかっている。老眼で小さい文字が読めなくなっているのと、根気が続かなくなったため。いずれ復活するつもりだが…はて。で、読書とはとても言えないかもしれないこんな漫画、弘兼さんの「黄昏流星群」。中高年の老いらくの恋、シリーズ。島耕作もそうだが、男にとってとても都合のよい展開を、悲哀と自虐を込めて描くことでその年代限定に発信しておられる。おっさんの願望、よくご存知で。

連載、まだ続いてるのかな?単行本になってからも20年くらい経つのでは?これが著作権切れの関係なのか、400円くらいの値段でコンビニによく置いてある。ほぼ週刊誌並みの値段。15分くらいで読んでそのまま駅のゴミ箱に捨てても惜しくない感じ。

また、最近のコミックが全然わからず、本屋に行って端から端まで本棚回遊しても、一つも知らなかったりする。で、黄昏と島耕作?ゴルゴ13もよく読み捨ててる。それぞれ、2回も3回も読んだ作品。思い入れがあるわけではなく、読んだことを忘れているから毎回新鮮なのだ。様々なところでの老化現象、放置しておいてよいのだろうか?



e0001663_17053503.jpg石田衣良さんの文庫。新幹線の友…って、片道で読んでしまう…本日京都弾丸往復トンボ返り片道の友。

相変わらずお上手。これは児童ポルノ?…てなツカミ。ろくでもない読者の捕え方を熟知しておられる。また、不器用で誠実な主人公…ろくでもないくせに自分をそう思ってる輩の共感を得るのも達人の技。清楚にして美貌の淫乱なヒロイン。ろくでなしの頭の中をよくご存知。How to sellに徹しておられます。

しかし、根っ子のところでそんな読者を蔑視してるように思える。多作につきエンディングの工夫は既視感あり。テキトーに幕を引いてしまうのもこの方のテイスト。結局、誰かが痛むことなしにはエンタメは成立しないのだよ、買って読んでしまった君の負け…多分、書いた尻から忘れてるのだろうな。読んだ尻から忘れてますが。

そう言いつつ私、ファンの一角を占めているろくでなしです。

移動の多い生活、なんとなく肩の凝らない小説で新幹線の気分転換…と、薄めの文庫を持ち歩いてる。ちょっと溜まったので三冊まとめて感想。

e0001663_12593963.jpg「サラバ」とやらでブレイク中の西加奈子さん…サラバ、長くて疲れそうなので一番薄い小品「窓の魚」。

4人連れの温泉旅行の一夜で起こった事件を、4人なりの視点から4回描いてる。誰かが死んだのは確かだが、事件は話の核心ではなく謎解きも特に求めていない。4人が4人、それぞれなりの心の闇を抱えており、一度発せられた言葉がどんな思いで発せられたのか、どんな思いで聞いたのか…ややくどいくらい繰り返され、読み手も反芻することになる。この前読んだ「出版禁止」でも思ったのだが、最近の小説テクニックはとても進化しておる。


e0001663_12594027.jpg次はミステリー仕立て(?)の短編集、この方もよく知らない方。警察ものだったり国際ビジネスものだったり家族の因縁物語だったり、ブラックユーモアだったり人間交差点だったり…バラエティに富んでいる。

帯にもある通り、かなりの技巧派とお見受けするが、結末の付け方から少し複雑な性格の作家ですな。中では追いつめられた挙句の連続犯行に及んだビジネスマンが陥る最悪の結末…「万灯」が目新しい展開で面白うござった。


e0001663_12594138.jpgこれが一番最近に読んだもの。現役AV女優さんの作品で、今映画化されてるらしい。と、業界の内幕を描いたキワモノ、かと思いきや、官能描写は控えめ(←がっかりしてないよ!)で、なんとも叙情的かつ無駄のない文体。登場人物の描き分けもわかりやすく、脇役も引き立っている。

どんな映画に仕上がってるのか、ちと見てみたい気にさせられました。

本の選び方、偏ってますかなぁ。

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乾くるみさんの新作…?そんな新作でもないか。文庫の装丁までかのイニシエーションラブにかぶらせ、次作以降ぱっとしなかった風を今一匹のドジョウを、てな一作。最後の二行でどんでん返し、も上手く決まってます。

ネタバレ
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木曜日、午前中の六本木での定例会議を終え大阪へ。二週間前までなら、この日に必ず手にしていた週刊新潮と文春、dマガジンなるアプリで済ませる。北海道旅行の折り、同窓に教わって早速使い始めたのだ。月々400円で一般誌も男性誌も女性誌もスポーツ誌も旅行誌も…何十冊もの雑誌が読み放題、これで週刊誌さん、どうやってこれから生計を立てていくのかな?

同窓と違いタブレットを利用してないのでスマホの画面…ちょっと小さいが十分読める。紙に比べて電子書籍は心に残らぬ…云々と言われてるが、こと雑誌に限っては元々心に残そうとも思ってないし、一ページ目からゆるゆるとスマホのページをめくって読んでる。紙の時は気に入った記事から読み始めて、全然目を通さない記事が半分くらいあったことも発見。

思えばサンデー・マガジン読んでた10代の頃から数えて40数年、一番多いときには週10冊から買ってた雑誌人生。これにて完全に終止符を打ったのだなぁ。ただ、中には電子化に逆らってる方もいるようで、週刊新潮を裏表紙めくったところから読ませるサイバラ画伯の作品がdマガジンにはない…なんで?…サイバラさんのケチ!その為だけに一冊は買わないからね(^^;
e0001663_12552228.jpg帯のコピーで「裏切られた!」とか「騙された」とかに釣られる傾向あり。結末のどんでん返しが好きなのね…これもその類い。

ちょっと今まで見たことのない手法。取材した実話をドキュメントとして発表してる体裁。自殺を装った殺人事件の謎を解く犯人探しのミステリーかと思わせるが、話が進行するにつれその可能性が次々否定されて行く。これを一発打破するトリックがあるに違いない、が、つまらないトリックに違いない…と思って読み進むひねくれた読者。


【ネタバレ】
で、確かに結末は裏切られる。展開は予想もせぬ方向に振れて、語り手と犯人がねじれ、本筋とは違う次元の事件が語られることに…ここからはホントにネタバレになるので自粛。トリックを用いない技、テクニシャンなんだと思うけど、主人公の感情移入に説得力がないのと、スプラッタじみた結末はあまり好きになれませんでしたなぁ。